株式会社小田島組さん
企業概要
- 所在地 岩手県北上市藤沢20-35
- 従業員数 174名(男性102名、女性72名)
- 業種 建設業(土木工事業)
取組内容
令和3年度男性社員のワーク・ライフ・バランスモデル創出事業
Q.この事業に取り組もうと思ったきっかけを教えてください
弊社は建設業を中心とした事業を展開しており、後継者育成などの課題を打破するため、2018年以降毎年15名以上の新入社員を採用しています。現在は、170名ほどの全社員のうち約半数が10代・20代であり、若手や女性社員にとって働きやすい環境づくりは意識され、女性社員の育休取得は進んでいました。しかしながら、男性社員においてはロールモデルとなる社員もおらず、男性の育児参加を促進する風土が定着しているといえる状況ではありませんでした。
そのような中、法律改正もあり、時代の流れを見越した取り組みを行うことにより、男性でも育休を取得しやすい環境づくりの意識を高めるために取り組みを行いました。
特に、弊社の場合はこれから父親や母親になる若い世代が多く、子育てなど想像ができない社員が幸せな家庭を築けるように、男性社員にも出産・育児について知ってもらう機会を提供するために、今回の取り組みを実施致しました。
Q.具体的に取り組んだ内容を教えてください
『子ども会社見学会』『ワークライフバランス社内研修』『子育てを支援する社内制度の検討』の3つの取り組みを実施しました。
『子ども会社見学会』は、社員の子供に会社に来てもらい、楽しみながらパパママの仕事を知ってもらいました。普段なかなか見ることのない家族の働く姿を見て、日頃の思いを「感謝の手紙」という形にすることで、親が仕事をすることの喜びや感謝を共有する機会となりました。
『ワークライフバランス社内研修』は外部講師を招いて、妊婦さんの心や体の変化や赤ちゃんのお世話の疑似体験について学びました。これからパパママになる社員が多くいる中、親とは子育てとはどんなものかを、少しでもイメージを持ってもらうために開催しました。
『子育てを支援する社内制度の検討』は、男女を問わず子育てしやすい社内環境を整備するために取り組み、育児中の社員にどのような支援制度があったらいいかなどをヒアリングしました。
Q.取組後、男性社員さんの意識や行動に変化はありましたか?
取り組みに参加した社員からは「男性も家事をできないわけではないので、今のうちにできるようにしておこうと思った」という家庭での環境づくりの意識の芽生えや、「子育てを終えた人も受けるべき。周りの理解の輪が重要だと思う。」といった子育てを離れた世代からも若い世代を応援する声が上がりました。「母親にしかできないのはお産と授乳くらい。支えあいが大事だと思う」といった、実際の子育てには性による役割の差がないことを認識し、支えあいの重要性に気づいた男性社員もいました。また、子育てとは家庭のみで行われるものではなく、家族の働く場所に触れることでお互いの喜びや感謝につながることを親子ともに実感した社員もいました。
今回の取り組みにより、出産や子育ては女性だけのものではなく、自分ごととして捉え始める社員が増え、無関心であったことを認識し、理解を深めるための行動へと変化していきました。
Q.取組の効果はありましたか?
この取り組みをきっかけに、参加する社員も、そして、事業を企画する立場であった担当部署も、会社として出産・子育て、ワークライフバランスを支援するには何ができるのかを考えるとてもよい機会となりました。
育児・介護は家族全体、そして社会全体で未来を築いていくステップであるため、これからパパママになる次の世代の人たちに知ってもらい、出産・子育ては楽しいことだという未来を描いてもらえるような環境づくりを、今後も会社として取り組むための重要な機会となりました。
また、出産・育児を迎えた社員が増えてきたことにより、2022年4月からは社内に女性活躍を支援する担当者を配置し、実際に出産・子育てを経験している社員を支援しているほか、そのような社員の交流の場を企画するようになっています。
男女ともに出産やそれに伴う休暇を歓迎し補い合う雰囲気が高まり、出産を経験した社員が復職する際にも戻りやすくなり、子育て中の不安や課題をお互い共有することで孤独感も軽減され、心身共に安心して働ける環境づくりに繋がっています。
Q.今回の取組の感想をお聞かせください
建設業は男性主体の業種であり、出産や育児により男性が現場を離れる環境が整備されているとは言い難い状況でした。弊社も例外ではなく少子高齢化や人口減少に対する課題意識を持っていたにも関わらず、男性育休の希望者や取得率も低く、またその状況をバックアップする社内の体制の整備も進んでいませんでした。
今回この取り組みを行ったことにより、制度確立までには至りませんでしたが、このようなことに議論が及んだこと自体が弊社としても前進と感じることができ、会社の子育て支援について意識を持つ風潮が助長されました。
今後は男性育休取得における男性ロールモデルの創出をはじめ、性別や年代に関わらず働きたい人が仕事と家庭の二者択一を迫られることなく働き続け、その能力を十分に発揮することができるような体制や環境づくりを会社全体で進めていきたいと考えています。