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企業等の取組事例紹介

株式会社吉田測量設計さん


  • 今回の取組への参加者を募集した社内発信文書
    今回の取組への参加者を募集した社内発信文書
  • 子ども社員の業務の様子(本社)
    子ども社員の業務の様子(本社)
  • 子ども社員の業務の様子(仙台支店)
    子ども社員の業務の様子(仙台支店)

企業概要

取組内容

令和3年度男性社員のワーク・ライフ・バランスモデル創出事業

Q.この事業に取り組もうと思ったきっかけを教えてください

 2020年2月末に政府が発表した、全国すべての学校への臨時休校要請がきっかけになったと思います。あの発表の2日後には学校が長期休みになるということで、子ども達を預ける場所を考える時間もなく、困り果てた状態で翌日出勤してきた社員は少なくありませんでした。そんな朝、「明日から子どもはどうするんだ?」と社長が声を掛けて回ってくれたんです。「何も決まっていません。」と答える社員に「会社に連れてくればいいじゃないか!」と即座に決定。そうして休校期間中、社内を子ども達の居場所として開放してくれました。結果として6家族が子連れ出勤制度を利用しましたが、不思議なことに子どもを連れて来た親は女性社員だけでした。
 この時「もしいつもの職場に我が子がいたら?きっと男性のON−OFF感覚も変化するかもしれないのにな。」と感じていたんですね。その翌年になってもコロナの状況は変わらず、せっかくの夏休みといっても自粛生活が続く状況でした。そこで少しでも特別な気分が味わえるイベントを企画してみようということで、それがこの「お父さんと一緒に出勤!ようこそ子ども社員!!」になりました。


Q.具体的に取り組んだ内容を教えてください

 まずは全社員に「子どもたちの夏休み!コロナ禍という制限だらけの長期休みにするより・・・ちょっと面白い1日を過ごしてみませんか?」とイベント企画を発表しました。「父親が毎日仕事に行く」ということは理解していても、どこに行って何をしているかを答えられる子どもは多くないのではないでしょうか?そこで、お父さんと一緒に社員として出勤してみよう!と声掛けをしてもらったんです。そうしたところ本社と仙台支店から子ども社員の希望がありましたので、それぞれの拠点で受け入れを行いました。
 子ども社員ですから、もちろん定時出社、朝礼にも参加します。お父さんの会社の仕事「道路ができるまで」の学習から、KY活動、実際の測量機械を使った作業体験を行いました。午後の半休を希望した子ども社員のお父さんには特別休暇を付与しまして、親子一緒に特別な1日を楽しんでもらいました。


Q.取組後、男性社員さんの意識や行動に変化はありましたか?

 やはり「子どもを職場に連れて行く」という非日常的な体験をしたことで、職場にいる自分と家庭にいる自分が別々ではなかったと実感されたようですね。このイベントに参加するまでは、子どもと仕事の話をすることは無かったそうです。「話をしても分からない」と思っていたからだったそうですが、この日をきっかけに会社のことや仕事について家族で話すようになり、結果として、会社カレンダーによる土曜出勤日や飛び石連休の際には進んで有給休暇の取得を希望され、しっかり家族とリフレッシュ出来ているようです。
 またそのことによって仕事に対する意欲も高まっているのが見てとれます。実際に結果も残し昇進もされ、ますます大活躍されています。


Q.取組の効果はありましたか?

 今回のイベント企画は、参加親子だけでなく従業員からも良い反応がありました。「自分にとっては日常のことでも、子ども達の反応が新鮮でこちらも楽しかった。」「子ども達がいるだけで、新鮮で雰囲気が明るくなった。」など大変好評なものでした。この体験は従業員にとっても、ワークとライフはオンとオフに分かれているものではなく表裏一体なのだと気づくきっかけ、ワーク・ライフ・バランスを考える機会にもなったように思います。
 またこれを契機に、ちょうどこの年の6月に可決成立されていた「介護・育児休業法」の改正に合わせて、就業規則の改訂にも取り組みました。改めて就業規則を周知することに合わせ「子どもの看護のための休暇」対象の男性社員に制度の説明も行ったところ、男性社員としては初の制度利用に至ったことはこの取り組みの効果とも言えると思っています。


Q.今回の取組の感想をお聞かせください

 本当の意味での「女性活躍」は、男性社員が働きやすい職場があってこそ実現するのだと再認識する機会になりました。女性が仕事面で活躍するためには、男性による生活面でのサポートが重要です。多くの家庭で男性は企業での役割を、女性は家庭での役割を担っていると思いますが、視点を変えて「男性も夫であり父親であること」「女性もまた企業人であること」に気付くことが最初の一歩。ワーク・ライフ・バランスとは言いますが、仕事と生活それぞれのバランスを取るというよりは、生活の中の一部に仕事も組み込まれているという考え方になれたら良いなとも思います。
 これまでも当社は業務の棚卸しを行い、ただ単純に男女平等ということではない個々の特性を活かした職場環境づくりを進めてきました。その経験からも、女性が働きやすい職場環境づくりは男性社員も働きやすい環境に繋がってくることを、改めて実感させられた今回の取り組みとなりました。
 また女性活躍や育児世代だけに注目されるアンバランスな構造ではなく、介護世代も同一線上にある本当の意味での「ワーク・ライフ・バランス感覚」を備えた企業であり続けたいと思います。

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