株式会社長島製作所さん
企業概要
- 所在地 岩手県一関市東台14-34
- 従業員数 180名(男性126名、女性54名)
- 業種 製造業(金属部品)
取組内容
令和4年度 男性社員のワーク・ライフ・バランスモデル創出事業
Q.この事業に取り組もうと思ったきっかけを教えてください
昔の長島製作所は、自分が休むと代わりにフォローに入ってくれる人がおらず、休みが取りにくい環境でした。
また、子育てをしながら働く事の大変さを共有する人がおらず、精神的にも肉体的にも余裕がなく、フルタイムで働くことが難しく辞めた人もおり、今思えばワーク・ライフ・バランスには程遠い環境でした。
共働き世帯が年々増加している中、男性、女性問わずに、このままでは若い世代の人は辞めてしまう、この環境のままでは苦しいままだと思ったのがきっかけで、『子育てしている人が安心して子育てしながら働ける環境にしたい』『突発的に休んだ人がいた場合でも現場が困らない体制にしたい』『仕事と子育てが両立できる環境にしたい』と思い、変革する取り組みがはじまりました。
Q.具体的に取り組んだ内容を教えてください
取り組みの内容としては、『子育て、介護の制度のWEB化』です。
上記に挙げましたきっかけにより、様々な制度が確立されていく中で、社員からは「制度の活用について、窓口に聞ける人と聞けない人がいる」「担当者と接点がないから、聞くタイミングがない」などの、制度以前の問題の声が上がり、制度は出来たけど、結果として社員全員が平等になっておらず、本当に社員全員が平等になることを求めた結果、WEB化に辿り着きました。
このことにより、誰もが自由に、好きな時間に、好きなだけ見られるように、そして社員全員へ正しい情報の提供を出来るようにするのが目的です。
労働人口の減少などにもより、少ない人員でも業務をまわせるように、今デジタル化が求められておりますし、国の施策の一つでもあります。
そこで弊社では、この取り組みをデジタル化への一歩として踏み出しました。
Q.取組後、男性社員さんの意識や行動に変化はありましたか?
男性、女性問わずにWEB化に関して、興味を示してくれる社員が多くおりました。実際に育休を取得された男性社員からは「休むことで仲間への負担が気になったが、制度に対しての勉強会や周知により、理解してくれる人が多くほっとした。本当にありがたかった。」と言う声もいただきました。
また、多能工やリリーフマンの育成をしていたことにより、周囲も常日頃からフォロー体制が整っているため、「いってらっしゃい」と言う協力的な気持ちで、安心して休めるように全社員で応援していたように感じます。
奥様と一緒に育児に対する想いを共有したいと言う、『子育て』に参加する男性社員が増え、子どもの成長過程にじっくり向き合えたため「取得して良かった。育休中にフォローしてくださった皆さんに今後は恩返ししていきたいし、もっともっと取得しやすい環境になればなと思う」などの声もいただきました。
男性社員の育休取得者が増え、今後取得したいと思っている方にとって経験者の『声』は、何よりも支えになり、共感し合える仲間の存在は大きいと思っております。
Q.取組の効果はありましたか?
WEBで閲覧できることで紙の削減が一つ効果としてあります。
また、制度利用者は「いつでも簡単に自分のタイミングで制度に関して詳しく見ることが出来た」「担当者に聞かなくても見られるので、気をつかわないで調べることが出来た」「パートナーと働き方を共有して考えることが出来た」という声も上がっております。
制度説明者からは、お互いの時間の削減、情報不足や洩れがなくなるため、全従業員が平等に情報を得られると声があがっております。
当社独自の男性の短期間育休が2017年から開始し、翌年からは、育休取得率が上がりました。産後パパ育休、短期間育休、長期育休を含め、男性の育児休業100%を取得し、育児制度の利用者が年々増加しております。
制度利用者が増えることにより、取得者に対する会社の風土もより一層変わり、取得するのが当たり前となっている環境に思えます。
制度を利用したことにより、周囲と『子育て』に関しての会話も生まれております。お互いが気にかけ、制度利用者以外の方からの理解・協力的体制により、会社全体で子育てをしているように感じます。
Q.今回の取組の感想をお聞かせください
今回WEB化にチャレンジするにあたり、WEB化以前は紙ベースで対象者に毎回説明をしており、この時は口頭であったり、コミュニケーションを取りながら人の手でしていた事が多く、これが当たり前と思っていたため、いざWEB化しようとした時に、対象者に分かりやすく簡略的に文字で伝えることが難しく感じました。
また、工場と聞くと、男性が多く働いているイメージをお持ちの方も多くいらっしゃると思います。昔は子育てをしている男性社員が少なく、『育児は女性』と言った考えがほとんどでした。
しかし、子育ての制度を利用する男性社員が増えてきており、WEBで『産後パパ育休』などの文字を目にする機会が出来たため、『男性も育児をする』という考えに変えられるきっかけにもなりました。
WEB化はまだ始まったばかりで、まだ全社員が100%使いこなしているわけではありません。ですが、今後は教育資料のWEB化も予定しており、社員の声を聞きながら、みんなが使いやすい環境を一つずつ積み上げていきたいと思っております。