妊娠中は月経がなくなるため、鉄の排泄量は減少しますが、胎児や胎盤の発育のための鉄の必要量は増加します。そのため、妊娠中は鉄欠乏性貧血になりやすいものです。
軽い貧血では自覚症状はありませんが、重い貧血になると、動悸、息切れ、疲れやすい、脱力感、立ちくらみなどの症状が起こります。また、重症の貧血は、微弱陣痛や出産時の異常出血、ショックの原因になることがあります。産後の回復が遅れたり、 母乳の出が悪くなる原因ともなります。
原因としては、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、 子宮頸管無力症、血液型不適合妊娠、持病による胎盤機能の低下、多胎妊娠など、さまざまなものがあります。過労や寝不足、過度のストレス、長時間の立ち仕事や冷えなども子宮への血液循環を悪くして、早産につながることがあります。妊娠中のからだの管理、そして様子がおかしいと思ったらすぐに受診することが、なにより大切です。
また、早産は多くの場合、周期的なおなかの張り、 つまり陣痛から始まりますが、前期破水 で突然始まるものもあります。前期破水は腟内の常在菌が子宮内に侵入して卵膜に異常を起こしたために引き起こされることがあります。また、前期破水のない早産にも、細菌感染が関係していることがわかってきました。そのため、最近は定期健診で腟内の常在菌をチェックする病院が多くなっています。