分娩後、母体が妊娠前の状態に戻るまでの約6~8週間を「産褥期」といいます。この期間は十分に休養をとる必要があります。特に産後24時間は安静 にし、ぐっすり睡眠をとりましょう。退院後も無理をせず、夫や家族は協力して家事などを分担し、お母さんが睡眠不足や過労にならないように気をつけましょう。
分娩時に会陰切開をした場合は、産後4~5日ごろに抜糸が行なわれます(自然に吸収される糸を使った場合は抜糸しないこともあります)。約3週間で治り、産後1か月健診で異常がないと診断されれば安 心です。
非妊娠時の子宮の大きさは鶏卵大です。妊娠中は 胎児の発育にともなって大きくなり、分娩直後から急激にもとの大きさに戻ろうと収縮を始めます。そのため分娩後2~3日は後陣痛という陣痛のような痛みがありますが、これはまもなく消えるので心配 ありません。
分娩1週目、退院のころには子宮も分娩時の半分くらいに収縮し、3週目ごろには約3分の1、4週目には 妊娠前の大きさに近づきます。ふつうは6~8週間 で、もとに戻ります。
悪露は分娩後の子宮から排出される分泌物です。 分娩後3~4日は血液も混じっていて量も多いのですが、退院のころには量も減り、しだいに褐色になります。3週目ごろには茶色から黄白色へと変化し、 量やにおいも少なくなってきます。4週目ごろにはだんだんとなくなります。産後40日くらいまでは1 日数回、茶色のおりものがみられるときもあります (それ以上つづく場合は産婦人科を受診しましょう)。
悪露は、量が多い間は専用ナプキン、減ってきたら月経用ナプキンを使いましょう。タンポンは細菌感染を起こしやすいので、使わないでください。悪露がつづくあいだは、トイレのたびに外陰部を消毒し、清潔を心がけましょう。また、入浴は悪露がなくなってからにします。シャワーは浴びてもかまいません。
早産などで赤ちゃんが低体重だった場合、また、体重にかかわりなく、赤ちゃんの心臓や肺の機能に問題がある、重症の感染症を起こしたときなどは、赤ちゃんを新生児集中治療管理室(NICU)で慎重に見守る必要のあるときもあります。また低体重の場合は温度や湿度を一定に保った保育器でしばらく過ごすこともあります。こうした場合、赤ちゃんがお母さんと同じ日に退院できないこともありますが、そうした赤ちゃんほど、母乳を飲ませたほうがよいので、医師らの指示にしたがい、母乳をしぼって赤ちゃんのもとに届けるようにしましょう。 赤ちゃんの様子を見守り、抱いたり、ふれたりすることは赤ちゃんにとっても、これからの親子関係のためにも大切です。